不動産名義変更の手続きと相続にかかる税金

もし、大切な人が亡くなり、その人が不動産の財産を持っていたとしたら、相続の手続きと共に不動産の名義を相続人に変更する手続きが必要になります。

不動産の名義は所有者が亡くなった後、できるだけ早い段階で変更を行うことをおすすめします。

ただし、不動産の名義変更は相続人同士の間で遺産の分割の話し合いが合意し、「遺産分割協議書という書類の作成ができている」ことが条件となります。

また不動産を相続する場合には税金も発生します。

この記事では、滋賀・京都で遺言書作成や不動産名義変更のサポートをしている岩渕司法書士事務所が、不動産名義を変更する際に必要な手続きと相続にかかわる税金について詳しく解説します。

不動産名義変更の手続き

不動産の相続人と不動産の特定が完了したら、名義変更の手続きを行います。まずは必要な書類を揃えます。

1.必要書類の確認

不動産名義変更の手続きに必要な書類は以下のものになります。

  • 相続人全員の戸籍謄本、印鑑証明書、住民票
  • 不動産を所有していた人(故人)の戸籍謄本、住民票(戸籍の付票)
  • 不動産の固定資産税評価証明書、登記事項証明書
  • 遺産分割協議書(遺言書がない場合に必要となります)

2.相続登記の申請

必要な書類を揃えることができたら、法務局で相続登記の申請を行います。申請方法は以下の3つがあります。

  • 直接法務局へ書類を持参
  • 法務局へ書類を郵送
  • インターネットからオンライン申請

よくわからない場合は司法書士に申請をお願いすることも可能です。

3.登記の名義変更完了

登記については1~2週間程度で完了します。

きちんと完了しているかは、法務局から発行される「登記識別情報」にて確認することが可能です。

相続人にかかわる税金

不動産を相続した場合にかかる税金は、大きく分けて4つあります。

  • 相続税
  • 固定資産税
  • 所得税
  • 登録免許税

です。

それぞれどのようなものか詳しく解説いたします。

相続税とは?

相続税とは、亡くなった人から相続し取得した財産にかかる税金のことをいいます。決められた計算方法がありそれによって金額を算出します。

<計算方法>

相続税=(すべての相続額-基礎控除額)×相続税率

※基礎控除額=3,000万円+600万円×相続人数

<例>

すべての相続額が8,000万円、相続人が3人の場合

3,000万円+600万円×3人

基礎控除額=4,800万円

(8,000万円-4,800万円)×相続税率

相続税=3,200万円×相続税率

すべての相続額と基礎控除額が同じ、または基礎控除額が上回れば相続税はかかりません。

基礎控除額は相続する人数によって金額が増えていきます。

固定資産税とは?

固定資産税とは、毎年1月1日時点で住宅やマンション、土地といった不動産を所有する人全員に発生する税金のことをいいます。

不動産を所有している場合は必ず支払わなければなりません。

ちなみに、相続財産に不動産がない場合は固定資産税を支払う必要はありません。

所得税とは?

所得税とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間で得た収入にかかる税金のことをいいます。

もし不動産を相続し、その不動産を売却し収入を得た場合には、所得税が発生します。

不動産を相続する場合、持ち続けた場合は固定資産税、売却した場合には所得税の支払いが必要になります。

相続した不動産を売却した際に得る所得については、減額できる譲渡所得という所得に該当する場合があります。

該当するかどうか個人では基準がよくわからないことが多いので司法書士に相談してください。

登録免許税とは?

登録免許税とは不動産の登記の際に必要となる税金のことをいいます。

登録免許税=不動産評価額×0.4%

で計算されます。

2018年4月1日から2021年3月31日までは相続で土地を取得した方が相続登記をしないで死亡した場合は免税となります。

ただし、亡くなった方からその後相続をした人に関しては上記の期日内でも課税されるので注意してください。

まとめ

不動産の名義を変更する手続きと、相続にかかる税金について詳しく解説いたしました。

名義の変更は相続人が誰になるのか、遺言書があるかどうか、そして必要な書類に不備がないかなど手続きがとても煩雑です。

大切な人を亡くした悲しみが癒えぬまま、初めての相続手続きを行わなければならないこともあります。

そんなときは専門家の司法書士に相談するのがおすすめです。

不動産は大切な人から受け継ぐ大切な財産です。

手続きに関するいろんな不安を解消してくれる司法書士にぜひ相談してください。

ブログ筆者:
岩渕誠

事務手続きに「愛」をもたらす司法書士。 どんな手続きにもストーリーがあります。それが人生最後のストーリーならなおさらです。この人に事務手続きしてもらって心からよかったと思っていただけるように、愛情込めて事務手続きをいたします。