遺言書を作成する8つのタイミング

大切な方が亡くなり、故人の遺産がある場合、家族や親族、または相続に該当する方々が、その遺産を相続することになります。

遺産を相続する人たちは相続人と呼ばれ、遺産相続の話し合いは相続人に該当する人すべてで話し合い、どのように遺産を分けるのかを決めなくてなりません。

もし亡くなった方が遺言書を作成していれば、相続人たちはその遺言書に基づいて遺産の相続を行うことができます。

遺言書というのは残された人々に亡くなった方の意思を伝えるために大切なものであるのに加え、相続をスムーズに行うためにも重要な役割を果たすのです。

しかし遺言書というのは普段の生活をしていると、いつどんなタイミングで作成すればいいのかなかなかわからないものです。

遺言書についてよくわからない方のために、この記事では滋賀・京都で遺言書作成や不動産名義変更のサポートをしている岩渕司法書士事務所が、遺言書を作成する時期やタイミングについて詳しく解説します。

遺言書を作るタイミングって?

遺言書を作るタイミングですが、20代の若い時期に作成する人もいれば、老後を迎えてから作成する人もおり、タイミングは人それぞれ異なります。

日本の法律では15歳から遺言書の作成が可能という決まりがあります。

15歳を過ぎていれば、どのタイミングで遺言書を作成しても問題ありませんが、遺言書を作るのに何よりも大切なことがあります。

それは「自分が健康で元気なうちにできるだけ早めに作成しておく」ということです。

人はいつ大きな病気になるか、事故に遭うか、将来のことは予測できません。もし自分の身に何かが起こってしまった場合、自分の意思で遺言書を作成することができなくなってしまう可能性があります。

まだ元気だからいいやと思わず、自分が健康でしっかりと気持ちを伝えることができるタイミングで遺言書の作成をしておくと安心です。

一度作った遺言書は後に変更することも可能なので、早めに遺言書を作って損をすることはありません。

遺言書作成の時期って?

遺言書は早めに作成したほうがいいということが理解できたら、今度は時期についても確認しておきます。

8つの時期についてご紹介します。

1.結婚

結婚というのは人生にとって大きな変化の一つです。

夫や妻ができることで法定相続人が変わります。

結婚前は親が法定相続人なのですが、結婚をすると配偶者も法定相続人に加わります。

遺言書を作成しておけば、法定相続人が増えても円滑に遺産を分配できる可能性が高いです。

2.子どもが産まれる

結婚と同様に子どもが産まれた場合も法定相続人が変わるので、遺言書を作るのに重要なタイミングになります。

結婚すれば「配偶者と親」が法定相続人になりますが、子どもが産まれると「配偶者と子ども」が法定相続人に変わるので覚えておいてください。

もし資産を持つ人が子どもを出産後に亡くなった場合は、配偶者と子どもで遺産相続について話し合いを行うことになります。

親子での話し合いにはなりますが、子どもが一人とは限りません。

人数が増えると遺産の分割の話し合いについても複雑になる可能性があります。

親子でスムーズな話し合いができるよう、子どもが産まれたら遺言書を作成しておくのをおすすめします。

3.退職後

遺言書を作成しようとする方が会社員の場合、定年退職したときにも遺言書の作成、または見直しを考えます。

というのも、定年退職後は退職金が入ってくることもあり資産が大きく変わることがあるからです。

定年退職というのは子どもたちが結婚し、孫が産まれるなどの状況の変化も出てくる時期ですので、退職のタイミングで遺言書の作成や以前作成したものに変更すべき箇所がないか確認してください。

4.配偶者が亡くなる

配偶者というのは常に法定相続人になる人です。

その配偶者が亡くなるということは法定相続人が変わるということです。

子どもがいる場合は配偶者に変わって子どもが法定相続人になります。

子どもがいない場合は親、または兄弟か姉妹が法定相続人になります。

子どもであれ、兄弟姉妹であれ、複数人いる場合は遺産の分割を複数人で話し合わなければなりません。

話し合いが円滑に行われるよう、配偶者が亡くなったときに遺言書の作成や見直しをしっかり行ってください。

5.離婚

結婚時に遺言書を作成しそのままにしていると、その遺言書は離婚後も有効になってしまうので注意が必要です。

離婚前に作成した遺言書に配偶者に遺産を相続するという内容が入っていたら、離婚してもその遺言書が有効になり元配偶者に遺産を渡すことになります。

離婚前に遺言書を作成している場合は離婚するタイミングで必ず内容を見直し、変更をしてください。

6.住宅購入など資産状況の変化

結婚や子どもが産まれた後に、住宅を購入するということはよくあることです。

そうなると資産の状況が変化します。

家は大きな相続になります。

家を購入するとき、大きな資産を手に入れたときなどは、その資産を誰に渡したいか、または売却し相続人たちに分割して渡したいなどを遺言書に記載しておくといいです。

自分の意思をしっかり遺言書に記載しておくことが大切です。

7.遺産を渡したい人ができた

遺産というのは遺言書がない場合は法定相続人しか受けとることができません。

配偶者や子ども以外にとても大切な人ができ、その人にも遺産を譲りたいと思った場合は遺言書を作成しておく必要があります。

例えば配偶者が亡くなった後に一緒に暮らす相手がいた場合、遺言書がなければその相手には家の相続権はなく、一緒に住んでいた家にいられなくなる可能性が出てきます。

このような事態にならないためにはしっかりと自分の意思を遺言書に記載しておくことが重要です。

8.15歳になる

法律上では、遺言書を作成できる時期として15歳以上という決まりになっています。

なかなかこのような早い時期に遺言書を作成するというタイミングにならないかもしれませんが、15歳になれば遺言書を作成できるということだけでも覚えておいてください。

まとめ

遺言書というのは大切な方が亡くなったあとの意思を受け継ぐためにとても大切な書面です。

タイミングはいろいろありますが、この記事の時期を参考にまずはできるだけ早い時期に遺言書を作成することを検討してください。

亡くなった人、そして残された人のためにも大切になる遺言書。

残された人々にたくさんの想いや意思が受け継がれるよう、不安なときはぜひ専門家に相談して遺言書を作成してください。

ブログ筆者:
岩渕誠

事務手続きに「愛」をもたらす司法書士。 どんな手続きにもストーリーがあります。それが人生最後のストーリーならなおさらです。この人に事務手続きしてもらって心からよかったと思っていただけるように、愛情込めて事務手続きをいたします。