自分や家族のためにも知っておきたい!遺書と遺言書の違いとは?

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2012年に流行語トップ10に選ばれた「終活」という言葉。

聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?

「自分の人生を最後まで自分らしく過ごす」

「大切な家族が自分の死後に困ることがないように」

さまざまな思いから、終活に取り組む方が増えてきています。

そうした中で、近年よくご質問いただくのが「遺書」と「遺言書」の違いについてです。

滋賀・京都で遺言書作成や不動産名義変更のサポートをしている岩渕司法書士事務所が、遺書と遺言書の違いについてわかりやすく解説していきます。

遺書と遺言書の定義とは?

遺書

字で見るとよく似ていますが、実は全く違うものなのです。

遺書についてお話する前にまず知っておいてほしいことがあります。

それは「遺言(ゆいごん)」についてです。

遺言(ゆいごん)は、一般的には自分が亡くなった後に伝えたい言葉や思いのことをいいます。

遺言を遺す方法には決まりはなく、自分の好きな方法で遺すことができます。

一昔前では手紙として遺しておくことが多かったのですが、最近では音声データや動画として遺す方も多くみられます。

このように自分が亡くなった後に自分の気持ちや思い、つまり遺言が書かれた手紙や文書のことを遺書といいます。

遺言書

遺言書(いごんしょ)とは民法に規定されている方式に従って作成された書面のことをいいます。遺言書に書かれた内容のことを遺言(いごん)といいます。

ここで疑問に思った方がいらっしゃるのではないでしょうか。

遺書に書かれた内容は遺言(ゆいごん)

遺言書に書かれた内容は遺言(いごん)

同じ漢字を用いていますが、法律用語として遺言は「いごん」と読まれることが多いのです。

法の定める要件を満たした遺言(いごん)には、法的な効力が認められます。

遺書と遺言書の内容の違いとは?

遺書と遺言書の定義がわかったところで、次に遺書と遺言書の内容の違いを解説していきます。

遺書の内容

遺書は自分が亡くなった後、大切な人に宛てた感謝の気持ちであったり、家族を案じて残して言葉であったり、その内容はさまざまです。

遺書にはこれまでの思い出や人生を振り返って書かれた内容など、その人らしさを感じることができる内容のものが多いのが特徴です。

遺書には法的効力はありません。

そのため遺書に相続に関することを書いたとしても、法的な効力はないのです。

遺言書の内容

遺言書は作成する本人の意思を尊重して作成されるものですが、内容は自由に決めることはできません。

その理由は遺言書には法的な効力があり、その内容は相続や身分に関するものであるため、内容によっては遺された人に大きな影響を与えてしまうからです。

遺言書に書かれる遺言(いごん)は民法で遺言事項として定められており、大きく4つに分類できます。

・民法に定められている法定相続制度とは異なる方法で相続することを認める事項

 相続分の指定や相続人の廃除など

・相続以外の方法で財産を処分することを認める事項

 寄付行為など

・身分に関する事項

 認知や未成年後見人の指定など

・遺言の執行に関する事項

 遺言執行者の指定など

遺言書の有無による違いとは?

遺言書には相続をはじめてとした遺された方にとって、大切なことが記されています。

ここでは遺言書の有無による違いについて解説します。

遺言書がない場合

民法では相続に関することが定められています。法的に相続する権利を有する「法定相続人」や相続分の目安となる「法定相続分」などです。

遺言書がない場合は、この民法に定められた内容によって相続することになります。

遺言書の作成が必要な場合

民法に定められる「法定相続人」「法定相続分」とは異なる方法で相続してもらいたい場合は、遺言書の作成をおすすめします。

「生前、親身に看病してくれた〇〇に多く相続してほしい」

「ずっと疎遠になっている〇〇に相続してほしい」

これは例の一つではありますが、遺言書を作成する自分の気持ちや思いを「相続」に反映させたい場合に、遺言書の作成は大きな意味を持ちます。

遺言書があることでスムーズに相続手続きをすることができるため、大切な人たちのために自分が最期にできる「思いやり」の形の一つと言えるかもしれません。

まとめ

今回は「遺書」と「遺言書」の違いについて説明しました。

遺書や遺言書と聞くと「死」を連想してしまいがちですが、最近では「大切な人のために」という意味が大きくなってきているように思います。

遺言書は人生の最期が迫ってきているときに作成するものと思われる方もいるかもしれませんが、都度見直しをすることで内容を変更することもできます。

遺言書を作成をすることで自分の人生を振り返ったり、これまでの感謝の気持ちを思い返すきっかけにもなるかもしれませんね。

遺言書の作成に関するご相談は、いつでもお気軽にお問い合わせください。

ブログ筆者:
岩渕誠

事務手続きに「愛」をもたらす司法書士。 どんな手続きにもストーリーがあります。それが人生最後のストーリーならなおさらです。この人に事務手続きしてもらって心からよかったと思っていただけるように、愛情込めて事務手続きをいたします。